基本的な用語
バケツリレー
現在のネットワークは、バケツリレー方式で通信しています。もともとのバケツリレーは火災を消すときにバケツで水を運ぶ方法の1つで、水源から火元まで人が並び、それぞれの人が隣の人にバケツを渡していくことです。ネットワークもこれと同じで、データを送る送信元から宛先まで機器が並び、隣の機器にデータを渡していきます。
それぞれの機器はどこにでもデータを届けられるわけでありません。隣りにいる機器にだけデータを届けられます。この「隣りにいること」を「隣接している」と言います。隣接していない機械にはデータを直接届けることができません。
隣接している機械は1台だけとは限りません。この図では各コンピュータは2台に隣接していることになります。
データを送りたい宛先が隣接していない場合は、隣接している機械の中から1台を選んでその機械にデータを渡します。渡された機械も同じように、隣接している機械の中から1台を選んで、その機械にデータを渡します。この隣接している機械との通信を繰り返して、宛先までたどり着くのがバケツリレー方式です。
LANケーブル
有線LANではLANケーブルを使って機器を接続します。これがLANケーブルです。
多くのコンピュータにはLANケーブルの差込口がついています。この差込口をLANポートまたは単にポートと呼びます。
LANケーブルは、LANで使われるケーブルという広い意味で使われており、実際の製品にはいくつかの種類があります。家庭で使う分には、カテゴリー5eかカテゴリー6と書かれている製品を選べば、ほとんどの場合で問題ありません。
1本のLANケーブルには2台の機器を接続することができます。LANケーブルは単なるデータの通り道になり、LANケーブルで接続した機器は隣接します。
スイッチ
一般的なコンピュータにはLANポートは1つしかありませんので、LANケーブルだけでは2台の機器しかつなげません。もっと多くのコンピュータを接続しするために、スイッチ(スイッチングハブ)と呼ばれるネットワーク機器を使います。スイッチはLANポートを複数持っている機器です。
スイッチも単なるデータの通り道になります。スイッチとLANケーブルでつながった機器は隣接します。
セグメント
スイッチとLANケーブルでできるネットワークを特にセグメントと呼びます。セグメントは「全てのコンピュータが隣接しているネットワーク」のことです。コンピュータが隣接しているということは、コンピュータが同じセグメントに属しているということと同じ意味になります。
ルータ
バケツリレー方式で述べたように、通信は隣接している(=同じセグメントにいる)コンピュータ同士の通信の繰り返しです。逆に言うと、異なるセグメントにいるコンピュータとは通信できません。
セグメントとセグメントをつなげるネットワーク機器をルータと呼びます。ルータは複数のセグメントに所属することができます。つまり、複数のセグメントの機器と隣接しています。
ルータはLANケーブルやスイッチとは異なり、単なるデータの通り道ではありません。バケツリレーに参加する機器になります。ルータが間にある機器は隣接していないことになります。
セグメントとネットワークの関係
セグメントは「最小のネットワーク」ということができます。ネットワークは1つ以上のセグメントで構成されています。また、ネットワークとネットワークをつなげたものもネットワークと呼びます。
逆に考えると、ネットワークを分割していくと、最終的にはセグメントにたどりつきます。
スイッチとルータの違い
スイッチとルータは見た目がよく似ていますが、機能が大きく異なるので使い分けないといけません。スイッチとルータの違いをまとめます。
- スイッチ
- バケツリレーに参加しない(単なる道である)
- セグメントの中で使われる
- コンピュータをたくさんつなげるために使う
- スイッチで繋げられたコンピュータ同士は隣接している
- ポートはどれも同じように動作するため、コンピュータを差すポートはどこでも同じ
- ルータ
- バケツリレーに参加する
- セグメントとセグメントの間で使う
- セグメントをまたがる通信を中継するために使う
- ルータで繋げられたコンピュータ同士は隣接していない
- ポートごとの設定があるため、コンピュータを差すポートは設定によって決まる
- 差す位置を間違えると動作しない
では、家庭ではスイッチとルータはどのように使いわけるのでしょうか。まず、回線事業者に申し込むと設置されるインターネットに繋げるための機器はルータです。ルータなのでポートには区別があり、WAN用のポートとLAN用のポートがあります。ポートのそばに書かれているのですぐ分かります。WAN用のポートにインターネット側のケーブルを挿し、LAN用のポートにインターネットに繋げたい機器につながっているケーブルを挿します。
一般的に、家庭で複数のセグメントを使う必要性はなく、追加でルータを購入することはほぼありません。あとはスイッチをつなげるかどうかになります。ルータにあるLAN用のポートは3~5個くらいのことが多いです。有線でつなげたい機器の数がそれより少なければ、ルータにケーブルを挿せば良いことになります。
もし有線でつなげたい機器が多い場合は、スイッチを購入してポートを増やしてあげます。